前編は、学生時代からギャガーだったこと、高校でつまづいてしまったことなどを聞いてきました。後編は、ギャグへのこだわり、大好きなでんぱ組.incのこと、今後の目標などなど聞いていきます。Yes!アキトに……、コーヒーブレイク・インタビュー!
なぜギャグばかり?
――芸人さんもいろいろな芸風がありますが、なぜギャグばかりなんですか?
アキト:札幌時代はギャグだけじゃなくて1人コントとか漫談もやっていたんです。当時の僕の認識では「ギャグは量産できない」と思っていて。
――なるほど。
アキト:そんななか、R-1ぐらんぷりに出場しました。
――R-1ぐらんぷりは、札幌予選は……。
アキト:ないです。そのたびに東京に行ってました。
――大変!
アキト:それで3回戦まで進めたんですけど、いろいろやっていくなかで「ギャグがウケる」って実感がありました。それで、「これは1回ギャグで縛ってやってみよう」と思って。そのまま来ただけですね。
――ギャグはどのようにして作っているんですか?
アキト:机に向かってっていうのもあるんですが、たまにTwitterやinstagramで単語もらってっていうのもあります。『野球』って言われたら野球の動きをしてみたり、フレーズを言ってみたり。
――Yes!アキトさんのギャグは『一コマ漫画』として成立しているものが多いですよね。
アキト:ある動きのマネをして、見ている人に何をやっているのか想像してもらったあとに、違うことを言うっていうのが多いですね。
――構造を明かしてしまっても大丈夫なんですか(笑)?
アキト:バレても問題ないくらいの大喜利力は持っていると思っています(笑)!
――ギャグの数はどのくらいあるんですか?
アキト:この手のインタビューでは絶対聞かれますよね(笑)。
――すみません(笑)。
アキト:ずばり、1000個です。ペースとしては月80個くらい作ってますね。
――すごい量です。札幌時代と違って、量産できるようになったんですね。
アキト:そのなかで採用するのが3割から4割。R-1とかで使うのが1割くらいですかね。
――それだけ作っていると、過去に作ったものと被ってきたりするのでは?
アキト:めちゃくちゃあります。それはもう……、しょうがない(笑)。
ダブルパチンコへのこだわり
アキト:意外と難しいんですよ、Yes!アキトのギャグは(笑)。
――自分で言う(笑)。確かに、替え歌とかもありますから、純粋な歌唱力も必要ですしね。
アキト:滑舌とかめっちゃ気にしてます。1発で聞き取れないと、全然意味分かんないですからね(笑)。
――(笑)
アキト:『ダブルパチンコ』も、ありがたいことにけっこうマネしていただいてるんですが、僕的にはみんなやり方間違ってるなっていう……。
――そうなんですか?
アキト:ダブルパチンコは両手同時に出しちゃうと『ダブル感』があまりないと思うんです。『ダーブル』で『右』『左』って順番に……。
――難しいですね(笑)。
アキト:詳しくはYouTubeに『ダブルパチンコ講座』を上げてるんで、そちらを見てもらって。
――勉強します(笑)。
アキト:あと、ダブルパチンコは、要は2台打ってるんですけど……、両方当たってます。
――(笑)
ギャグ以外のネタ
――先ほど、ギャグ以外に1人コントや漫談もやっていたことがあるとのお話も出ましたが……。
アキト:やってました。フリップネタみたいなのも。上京してからもまったくやっていないわけではないですね、一応。
――どんなネタがあったんですか?
アキト:『でんぱ組.inc』が好きなんですけど、それで『でんぱ組漫談』っていうのを作ったり。
――「イエ~ス」以外のブリッジも試したりしたのはあるんですか?
アキト:「かんぱーい!」っていうのを(笑)。
――(笑)
アキト:ジョッキ持って、ネクタイを頭に巻いて、酔っぱらいの設定で。いかにもギャグをやりそうなおじさんっていう感じで。全然ウケなかったですね(笑)!
――残念(笑)。
アキト:他にも、記念写真を撮るような形で、カメラの三脚立てて、全然笑わない子どもにギャグやって笑わせるカメラマンみたいな、ギャグがやれる設定の1人コントとか。
――今は「イエ~ス」が定着していますからね。『さんまのお笑い向上委員会(フジテレビ)』でさんまさんもやってくれますし。
アキト:本当にありがたいです。
向上委員会、驚異のオンエア率
――『向上委員会』でモニター横芸人としてギャグをやっています。オンエア率が驚異の9割前後ですが……。
アキト:そうですね。オンエア率バカ高いですね(笑)。
――秘訣はあるんですか?
アキト:秘訣も何もないです。ギャグをとにかく作っていくしかないんです。
――そうなんですね。
アキト:しいて言うなら……、最初に出させていただいた1発目の収録です。1発目なので、絶対に自信があるギャグをやるじゃないですか。そしたらスベったんですよ。
――それは非常にまずいですね。
アキト:「これは今までのライブや『ウチガヤ』とは戦い方が違うぞ!」と認識して、2本目から予定していたギャグとは違うのをやったんです。そしたらウケて。そこで切り替えられたのが良かったんだと思います。
――そのスベった1本目のオンエアはされたんですか?
アキト:オンエアはされました。スベったあとに、また違うギャグをやって「セーフ!」って言ったんですよ。そしたらさんまさんに「アウトや!」ってツッコまれて。それで救われました。
――1回の出番で二の矢、三の矢を撃つのがYes!アキト流ですよね。
アキト:そこでダブルパチンコが生きてきましたね。「もう1回もう1回」って駄々こねたあと、さんまさんに「ダメ」って言われて「ダーブルパチンコ!」で「じゃあしょうがない」みたいな。
――落ち着いて聞くと全然意味はわかりませんが(笑)。
アキト:とにかくガムシャラに「やるしかない」って気持ちですね。ストックだけは絶やさないようにして。
ギャグは身体が資本
――運動神経はいい方ですか?
アキト:悪かったですね……。でも、大学はダンスサークルで『ポッピン』とか『ロボットダンス』とかやってました。
――そのあたりはギャグに生きているんですかね?
アキト:気付く人は気付くと思うんですけど、ダンスのストレッチの動きを使ったギャグもあります。身体の動かし方にも生きてるんですかね?
――キレありますもんね。
アキト:この間、テレビの収録中に足やっちゃって……。2日くらい動けなかったことがあって、ギャガーとして終わるかと思っちゃいました。
――身体が資本ですね。
アキト:それで、最近腹筋とか始めたりして(笑)。
――ギャガーは脳の若さも必要な気がします。
アキト:自分に関しては意外と当てはまらない気はしていて。意外とそんな突拍子もない発想でやっていないんじゃないかなって。もしかしたら、そんなに『ギャグ脳』じゃないのかなとは思ってます。
――いい意味で、そうかもしれませんね。ロジカルに考えられている印象があります。
アキト:お笑いのセオリーから言うと、ギャグもポンと生まれたようなヤツの方がきっと面白いんだろうなってのもありますけど。
――それは好みやタイプの問題ではないでしょうか。Yes!アキトさんのギャグが面白いという人も、もちろんたくさんいますので。
『Yes!』の意味は?
――なぜ『Yes!』なんですか?
アキト:どっちがいいかなあ……。
――では、両方いただきます(笑)。
アキト:『Yes』っていうのは、頭文字で、『Young Episode Spirits』。『若いころの気持ちで行こう!』っていう……。あー! 弱いボケです!
――(笑)
アキト:本当の理由は……、僕、『でんぱ組.inc』が好きなんですけど。メンバーそれぞれ自己紹介があるんですね。今は脱退してしまったんですけど、最上もがさんの自己紹介から『Yes』は来てまして。
――どういう自己紹介なんですか?
アキト:もがさんが「今日も頑張るぞ~!」って客席に振って、そしたらお客さんは「Yes! もが!」って言うんです。……「これだ!」って。
――(笑)
アキト:『Yes』っていいなあって思って。肯定の『Yes』。
――確かにいいですよね。
アキト:他のメンバーの自己紹介でも考えたんですけど。僕の一番の推しの古川未鈴さんの「未鈴のハートにBダッシュ!」っていうのから、『アキトのハートにBダッシュ!』って。
――芸名としては長いですね(笑)。
アキト:そうですね(笑)。
――余談ですが、古川未鈴さんは昨年結婚されましたよね。
アキト:そうなんです! 落ち込みました……。僕、落ち込まないタイプだと自分では思っていたんですけど、いざ直面するとめちゃくちゃヘコんじゃって。次の日、遠出をしました。
――どこへ行ったんですか?
アキト:幸手です。
――遠出と言っても埼玉でした(笑)。
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