関西からやってきた標準語の漫才師【ヤーレンズ(前編)】

東京で事務所を決める

――そして東京生活がスタート。事務所を決めます。

楢原:はい。さっき話した遠征のときに話聞いて……。事務所の数にびっくりしました。こんなに数があることも知らなかったです。

――ネタ見せはいろいろな事務所に行ったんですか?

出井:いや、ケイダッシュステージだけなんですよ僕ら。

――え‼ 事務所探しに苦労しているフリー芸人も多いのに。

楢原:これは運が良かったですね。

――なぜケイダッシュステージに?

出井:大阪で『MBS漫才アワード』っていう大会があって。東京の芸人も予選に来るんです。そのときに面白かったコンビを2組だけメモしてたんですね。それが『トム・ブラウン』と『アリ☆こうた』。

――2組ともケイダッシュステージ! トム・ブラウンは今でこそ活躍しているけど、当時はまだ……。

出井:そのとき見たトム・ブラウン、むちゃくちゃ面白かったんですけど、むちゃくちゃスベってたんですよ(笑)。

――(笑)

出井:モニター前の芸人は盛り上がってたんですけど。

――時代が追いついてなかったんですかね(笑)。

出井:それで、事務所を決めるときにケイダッシュステージのHPを見ていたら、2組ともいたんです! じゃあここにしようって。

楢原:ネタ見せから所属になりました。

コンビ名の由来は?

楢原:サザンオールスターズの『YARLEN SHUFFLE~子羊達へのレクイエム~』から取りました。パープーズもサザンの『我らパープー仲間』から。

――2人ともサザンオールスターズのファンですもんね。

出井:はい。コンビ組む前に、仲間内でやっていた『サザンだけ歌うカラオケ会』で出会いました。

――他にコンビ名の候補はあったんですか?

楢原:とにかくサザンから、というのは決めてました。『真夏のなんとか』とか『エロティカ・なんとか』とか。でも有名な曲は避けたいな、みたいな。

出井:全部の曲に『ズ』を付けたんですけど(笑)。

――(笑)

出井:『いとしのエリーズ』とか……、結局『ヤーレンズ』に落ち着きました。

都内で一番お笑いライブに出ている?

――都内で一番お笑いライブに出演しているんじゃないかという噂もありますが……。

楢原:ピーク時は年間368本出てました(笑)。

――365日より3回多い! オファーですか? それともこちらからお願いして?

楢原:基本オファーでしたね。賞レースの前なんかはお願いしたときもありましたけど。

――すごい! しかし、ライブのギャラだけでは金銭的に苦しいのでは?

楢原:バイトしないで済むくらいにはなってました。あと、これだけライブ出ているとお金を使う暇がないっていう……。ライブのギャラがその日のご飯代。それだけです。ギリギリでした。

出井:それで、意図的にちょっと減らして。ライブにたくさん出ることも大事ですけど、話し合ったりするのも大事な時期に来たな、という感じです。

――試合もいいけど練習も?

出井:そうですそうです。あと、プライベートの時間がないと人間としてダメになるなと(笑)。

関西ルーツだけど標準語の漫才

――もともとは関西弁なんですよね?

楢原:はい。大阪なんで。

――なぜ標準語の漫才を?

楢原:そうですね。俺は前のコンビのときにやれるだけのことはやったので。ボケもツッコミもやったし。漫才もコントもやったし。どれもうまくいかなくて。で、解散したときに、「まだやってないことはなんだろう?」って考えて。

――なるほど。

楢原:で、「2人同じようなキャラクターで、引いた感じで」やってみたことないなと思って……、コイツ(出井)に声かけるときに提案しました。

――意外と真面目に考えたんですね!

楢原:このときちょっと真面目だったんです(笑)。コイツ(出井)がやめてるかやめてないかよくわからなかったんで……。引き戻すには、適当に「ちょっとやらない?」じゃ声かけられないなと思って。

――出井さんとしてはそれでよかった?

出井:やったことないことだったんで。興味はありました。

――大阪だと引き芸は少ないし、スカシた印象にもなりかねないのでは?

出井:実は今になって、そんな話もあったと聞きます(笑)。

楢原:「急になんやねん」みたいな(笑)。

出井:でも、面白い先輩は「ええんちゃう?」って言ってくれてました。

――ご自身のYouTubeチャンネルで関西弁漫才も実験的にやられています。

出井:是非ご覧ください(笑)。


インタビュー中も、どこか飄々としているのだが、チラッと情熱が見え隠れする。それはまさに、標準語にカモフラージュされた関西魂あふれる漫才と同じなのかもしれない。ヤーレンズのコーヒーブレイク・インタビュー、後編へ続く!(1月17日更新予定)