上京して事務所探し
シオ:ピンでいい感じになってきたんで、東京へ行こうって決めたんですけど、1年くらい準備をしてました。
――準備。
シオ:行ったらバーンとデビューしたかったんで、自分なりに強いネタを作り貯めてました。ピンでは大阪で2年くらいやったんですけど、後半の1年がそんな感じでしたね。
――そして東京へ。
シオ:はい。2008年くらいによしもとを辞めて、東京に来ました。
――東京のよしもとで活動する、という形じゃなかったんですね。
シオ:はい。デカい事務所は絶対やめようと思ったんですよ。結局あの生活の繰り返しになるんで。
――なるほど。
シオ:チャンスが手っ取り早く回ってくるとこにしようと思いまして(笑)。
――(笑)
シオ:でも、東京来て、大手も含めて手当り次第オーディション受けました。そのなかでいくつかライブに出させてもらったんですけど、どこも所属になるには時間がかかるってわかったんですよ。
――フリーの芸人さんはみなさん苦労してます。
シオ:よくしてくれるところもあったんですけど、僕ももう30手前で……。そもそも年齢ごまかしてオーディション受けてたんですよ。
――え!
シオ:あとで言ってそれは許してもらったんですけど。「じゃあなおさら頑張らなきゃね」って言われて(笑)。とにかく、年齢的な焦りもありました。
――事務所も、取るなら若い方がいいですからね。
シオ:そんなときに『グレープカンパニー』って事務所があるって噂を聞いて。そのときは事務所立ち上げてからまだ半年くらいしか経ってなかったらしく。
――『フラットファイヴ』から独立してまもない頃ですね。
シオ:はい。サンドウィッチマンさんくらいしか知ってる人いなくて。
――永野さんのお名前は出さなくて大丈夫ですか?
シオ:あ、永野さんはホントに当時、知らなかったです。すいません永野さん(笑)! それでネタ見せに行ったら反応がよくて。
――即戦力が欲しかったんでしょうか?
シオ:そうなんですかね? それで、すぐにグレープカンパニーに所属ってなりました。
大阪と東京の違い
シオ:大阪時代も大変でしたけど、東京は厳しいっていうか、難しいですね。
――というのは?
シオ:大阪ではこういうキャラいなかったんで珍しがられたんですけど、こっち来ると、キャラクターがすごいいっぱいいるじゃないですか。
――キャラクターの種類という意味では、そうかもしれません。
シオ:それでパワー不足を感じて、普通のキャラでやってみた時期もありました。お医者さんのコントやったり、コンビニのあるある言ってみたり。
――お客様の反応はいかがでしたか?
シオ:『フツー』って感じでしたね(笑)。
――(笑)
シオ:でもそれがあったことで、表現力とか見せ方の幅は広がった気もします。
有ジェネと有田さんのアドバイス
――今は『有田ジェネレーション』に出演しています。反響はいかがですか?
シオ:ウチの親父がもともと固い人間で。テレビで漫才とか見てても、ツッコミで頭叩くのを見て顔をしかめるような人だったんですよ。その親父が有ジェネ見てて。
――ちょっと怖いですね。
シオ:そう思って実家に帰ったら、親父が『ジェラードン』のモノマネしてました(笑)。
――有田さんと打ち上げにも行っているとうかがいましたが……。
シオ:はい。僕が考えた『ファンキージェネレーション』っていうラップバトルの企画があって、レギュラー回でもやろうってなったんですけど。オープニングは僕のラップから始まるんです。その演出も打ち上げで有田さんが提案してくれて。
――嬉しい話ですね。
シオ:そうなんです。次の収録から採用されました。
――他にはどんなお話をされるんですか?
シオ:メガネを変えたのも、打ち上げでの有田さんのアドバイスですね。
――以前はいかついサングラスでした。
シオ:はい(笑)。それで、変えたきっかけなんですけど……。僕、『ネタはウケてるけど審査の点数が低い』みたいなことがよくあるんですよ。
――(笑)。
シオ:他のネタ番組に出たときに、またそういうことが起きて。有田さん、その番組をご覧になってたみたいなんです。それで「あれ、笑い足してたの?」って聞かれて。
――はい。
シオ:「違うんですよ!」ってお伝えしたら、有田さんもなんで点数が伸びないか、一緒に考えてくれて。
――ありがたいですね。
シオ:僕の表情が見えないことが原因なんじゃないかって話になり、有田さんが「確かに『お笑い芸人誰が1番好き?』って聞かれて、こんなヤツ好きって言いずれーもんな」って(笑)。
――(笑)
シオ:確かに、怖がられたりすることも多いですし……。逆にイベントで子どもに「かっこいい! サングラス外して」って言われて外したら、「普通のおじさんだ!」って逃げられたりっていうのもありましたし。
――キャラクターを強くするためのサングラスが、足を引っ張ることもある?
シオ:そうかもしれないです。とにかく、有田さんからアドバイスをいただいて、「サングラス外そう!」ってなりました。
――勇気がいりますよね。
シオ:僕も不安でした。サングラスなしでやったことなかったんで、気持ち半分半分だったんですけど。次の収録からそれで臨んで。
――番組でのイジりはどうだったんですか?
シオ:収録ではイジりあったんですけど、オンエアではそのくだりが全部カットになってました(笑)。
――(笑)
シオ:でも、今の方が気持ちも楽になったし、周りも「いいね」って言ってくれるようになりました。ショッピングモールのイベントなんかでも年配の方が笑ってくれるようになった気がします(笑)。
――有田さんと有ジェネに感謝ですね。
シオ:今は研究生に降格しちゃったんですけど(笑)。
――昇格を期待しています!
そのファンキーなキャラクターとは裏腹に、ひとつひとつ丁寧にインタビューに答えてくれるシオマリアッチ。神奈川から大阪に飛び出してしまう大胆さと、この丁寧さが、ファンキーかつ緻密なネタに反映されているのだ! シオマリアッチのコーヒーブレイク・インタビュー、後編へ続く!(3月13日更新予定)
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