禿マッソーと極限モンキー
――2人の初めての出会いは?
前田:出会いっていうか……。最初に知り合ったのはネットです。高校のときに。
石本:お笑い好きが集まるコミュニティがありまして。当時の流行りで、プロフィールのアバターを作るんですけど、前田のアバターが可愛かったんですよ。
前田:僕、女子として登録してて。アバターがショートカットの女子だったんです。無料のパーツを組み合わせて、できるだけボーイッシュにしてただけなんですけど。
――女子で登録すると、どう組み合わせても可愛くなっちゃう(笑)。
前田:そうですそうです(笑)。それで可愛い女の子だと思って、コイツが声かけてきたんですよ。
石本:名前が怪しいなとは思ったんですけどね。
――なんていう名前だったんですか?
石本:『禿マッソー』っていう……。
――はげまっそー?
前田:当時、髪の毛が細くてみんなから「ハゲ」ってイジラレてて。で、筋トレ好きだったんで『禿(ハゲ)マッソー(マッスル)』って(笑)。
――だとしても、そんな名前にしなくても(笑)。
前田:コイツは『極限モンキー』です。
――(笑)
石本:キングコングさんに憧れてたんで、コンビを組むことになったら極限モンキーにしようと思ってたんです。キングコングほど強くないけど、猿の中では最強、みたいな(笑)。
――第一印象はいかがでしたか?
石本:最初は、お互いに送りあったプリクラを見て……。僕は「度が過ぎたボーイッシュだなあ」って思いました。
前田:スポーツ刈りの女子高生だったんで(笑)。
――(笑)
石本:全然タイプじゃなかったんで、その時点で、彼女候補じゃなくなりました。
前田:ふざけやがって(笑)!
石本:でも、連絡取ってて「気が合うなあ」とは思ってました。
ネットで知り合った2人がリアルで出会う
――『禿マッソー』と『極限モンキー』は、どのようにして出会うのですか?
石本:初めて出会ったのは、東京アナウンス学院(以下『アナ学』)の入試のときです。
――2人の出身校。
石本:僕がお笑い始めるのに、東京に1人で行くのも心細くて。それで、アナ学に誘ったんです。
前田:僕は、心理学に興味があって、大学に行こうかなと思ってたんですけど。
――心理学は、やはり性のことがあって?
前田:そうですそうです。で、そんななか、コイツに誘われて。「確かにお笑いもやりたいし」ってなって……。アナ学を受けることにしました。
――漫才のなかでも、前田さんが石本さんに付き合わされるイメージがありますが、すでにその関係は始まっていたんですね。
前田:そうかもしれないですね(笑)。
石本:そのあと、さっきお話した『ハイスクールマンザイ』の九州地区予選でも一緒になったりしましたね。
入学直前の告白
石本:アナ学の入学前にネットで何度かやり取りして、コンビを組むって話にもなってたんですけど。その半年くらい前ですかね。前田からメッセージで「実は言わなきゃいけないことがある」って来て。
――確かに大事な件がひとつ、ありますね。
前田:勇気を出してメッセージしました。
石本:「ウチ、心が男なの」って来たんです。
――それで、石本さんはどうしたんですか?
石本:「は?」と思って。「お母さん、コレどういうこと?」って聞いて。
前田:なんでお母さんに見せんだよ(笑)!
――(笑)
前田:それだけじゃなくて、メッセージでいろいろ説明したんですよ。「トランスジェンダーっていって……」「はるな愛さんの逆みたいな……」って。
石本:僕なりに調べて、理解はしたつもりだったんですけど、「どうしよう」ってなっちゃって。性別がどうって話じゃなくて。僕の夢はキングコングさんだったんで……。
――石本さんが想い描いていた漫才師のイメージとは違う。
石本:はい。でも、僕なりにいろいろ考えたんです。この人とどういう漫才やろうとか。ずっと考えてたんですけど……。
2人がコンビを組むはずが……。
前田:それで、アナ学に入学しました。僕はコイツに東京連れてこられたようなもんだし、当然コンビのつもりでいたんですけど……。
――まさか(笑)?
前田:そのまさかです(笑)!
石本:入学式のあとの懇親会で新入生の初顔合わせになるんですけど……。そこで大野というヤツに出会うんです。
――ペッパーボーイズの前に、2人と『3LDK』というトリオを組んでいた大野さんですね。
前田:今は『大野アドゥドゥドゥ』という名前で、YouTubeを中心に活動しています。
石本:その大野が、懇親会でめっちゃ場を盛り上げてて……。僕は「天才がいる!」って思って。
――大野さんは、明るくて人気者タイプですからね。
石本:そのまま勢いで「僕と組んでください!」って言っちゃったんですよ(笑)。
――ええ!
石本:それで大野と組んだんですけど……。何も知らない前田から「どんなネタやろうか?」って言われて。
――完全な二股ですね(笑)。
石本:「ごめん。大野と組むことになっちゃった……」って言って(笑)。
前田:「ふざけんじゃねえよこの野郎! お前と組む予定だったから入学したんやぞ!」って(笑)。
石本:梶原さんが必要だったんですよ、僕には。
――自分がキングコングの西野さんだから(笑)。
石本:そうです! 西野さんに近づくために口調や髪型を真似したりしてたんですから!
――(笑)
石本:「僕もツッコミだし、前田もツッコミじゃん」って言って……。
――今さら(笑)。
前田:それで、僕は現『スタンダップコーギー』の三森と組むことになりました。
――それぞれコンビ名は?
石本:僕は『ナックルズ』で。
前田:僕らは『九州だんじ』です。
――そしてその後、『3LDK』になります。
石本:僕がツッコミできないって気付いて(笑)。
前田:『九州だんじ』を解散したこともあって、3人になりました。
浅井企画へ。そして元サヤに。
石本:アナ学にいるときに、いろいろな事務所さんに声かけていただきました。
――優秀!
前田:そのなかで、浅井企画が将来のことをいろいろ具体的にお話できたので、浅井企画に。当時は迷いましたが、今はよかったと思ってます。
――無事、事務所には所属できましたが、3LDKは解散してしまいます。
前田:はい。いろいろありましたが、元サヤの2人に戻りました(笑)。
紆余曲折のドタバタ上京ストーリーは、ペッパーボーイズの漫才そのもの。今の2人のやりとりを聞いていると『なるべくしてなったコンビ』だと、改めて頷けます。ペッパーボーイズのコーヒーブレイク・インタビュー、後編へ続く!(2月28日更新予定)
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