半分秋田・半分東京、アウェイなことがホームのスタイル【ねじ(前編)】

アニメの名シーンや、誰もが知ってるヒットソングを秋田弁に翻訳。秋田と東京の二重生活。そんな『ねじ』の2人がどのようにして芸人になり、なぜ秋田にこだわるようになったのか? ねじに……、コーヒーブレイク・インタビュー!

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、リモートによるインタビューとなっております。画像は、リモート画面のキャプチャーと、ご本人よりご提供いただいたものを掲載しております。

(リモートインタビュー キャプチャー画像)
ねじ
せじも 名前 ササキユーキ
1984年12月3日 生年月日 1984年7月2日
秋田県 出身地 秋田県
B型 血液型 B型
身長:162cm/体重:65kg サイズ 身長:176cm/体重55kg
映画、音楽、登山 趣味 プロレス、ポケモン
ギター、ラグビー 特技 偏見
車輌建設機械(3t未満)、山の知識検定(ブロンズコース) 資格 柔道初段、少林寺拳法二段、ポケモンカードイベントオーガナイザー
高等学校 最終学歴 東京アナウンス学院
(出典:ケイダッシュステージ公式HP

出会いは高校

――私はねじの2人とは10年以上の付き合いがあるので、改めてインタビューというのも変な感じがしますが。あえて伺います。……お笑いを始めたきっかけは?

ササキ:改めて話すの恥ずかしいですね(笑)!

――お互い頑張りましょう(笑)。とはいえ私も詳しい話は知らないので。

ササキ:わかりました(笑)。

せじも:僕が高校1年のときにササキくんを誘ったのがきっかけですね。

ササキ:出会ってそんなに経ってないころです。

――それで2人で芸人になろうと決めたんですか?

ササキ:いえ。それで僕は「もしやるとしてもお前みたいなつまんねえヤツとやんねえよ」って。信じられないくらい辛辣な台詞を吐きましたね。今思うと、なんでそんなことまで言うんだっていう(笑)。

――ひどい(笑)。

せじも:彼はそのひとことを言って、どっかに行きました(笑)。

ササキ:授業が始まったらまた教室に戻ってくるんですけどね(笑)。

熱い先生が持ってきたチャンス

――しかし、今はコンビを組んでいます。

ササキ:僕、高校でボクシング部に入ってたんですけど、1年のときにもうやめようと思ってたんです。それで、部活の顧問の先生……、担任でもあったんですけど。その先生に「やめます」って言いに行ったんです。

――はい。

ササキ:すっごい熱い先生だったんです。筋肉ムキムキで色黒で、タンクトップに竹刀持って、教室に入ってくるような人で。

――昔のマンガのキャラクターみたいな(笑)。

ササキ:あとから聞いたら、当時バリバリ尖ってた時期だったらしいんですけど。担任を持ったのが僕らが初だったみたいで。

――なるほど。

ササキ:そんな先生なんで、簡単にやめさせてくれないんです。僕はもともとプロレスラーになりたいって夢があって、それで格闘技やろうと思ってボクシング部に入ったんですけど……。先生に「お前の夢、どうすんだよ!」って言われて。

――熱いですね。

ササキ:僕はとにかく部活やめたかったんで「あ、じゃあ、お笑いとかやります」って。そのときパッと出てきたんです。お笑いも確かに好きだったんで。

――その場をやり過ごそうと。

ササキ:そしたら次の週くらいに。校内放送で「ササキユーキ、職員室に来なさい」って呼び出されて。なんだろうと思って行ってみたら……。今でも忘れないです。その先生が回転する椅子に背中向きに座ってて、こっちを向きながら「ササキ、お前にチャンスを持ってきた!」って言いながら、1枚の紙を渡してきたんです。

――チャンス?

ササキ:第1回目の『M-1グランプリ』の応募用紙でした。

――おお(笑)!

ササキ:予選の日も学校休んでいいって言われて。ちょっと逃げらんないってなって(笑)。

――(笑)

ササキ:でもまず相方がいないんですよ。それで、僕が声かけたのが……。

――そこで、せじもさんが出てくるんですね。

ササキ:いえ、中学の同級生に声かけました。

せじも:そうなんですよ~(笑)!

ササキ:中学の同級生にお笑い好きなヤツがいて。「将来芸人になろうよ」みたいなことを言いあったこともあって。そいつに声かけたんですけど……。「え? あれマジだったの?」みたいに言われて(笑)。

――所詮は中学生のころの話ですからね。

ササキ:それで思い出したのが、せじもの顔だったっていう……。「そういえば、やりたいって言ってくれてたヤツいたな」って(笑)。

――(笑)

ササキ:改めてせじもに「や、やる……?」って。「マダ……、オレノコト……、スキ……?」みたいな(笑)。

――ひどいことを言われたせじもさんとしては?

せじも:言っても絶交したわけじゃなくて、毎日遊んではいましたからね(笑)。

ササキ:コンビを組んで『M-1』に出ることになりました。

高校生でM-1予選に出場

せじも:高2の夏でしたね。

ササキ:ネタ作って、体育館裏でネタ合わせて。仲良い友だちに見せたりして。

――友だちの反応はいかがでしたか?

ササキ:すっごい恥ずかしそうにしてました。「見てらんな~い」みたいな(笑)。

せじも:(笑)

――それで1回戦に出場するんですよね?

ササキ:はい。仙台予選に。学校休んで。

――高校生が漫才をしに、秋田から仙台へ。大冒険ですね。

せじも:大冒険でした。マジで(笑)。

ササキ:僕が100%ネタ作って、100%演技指導もしたんですけど。でも実際、クラスで目立つようなことをしたことない人間だったので、面白いと思うことが合ってるかどうかなんてわからないじゃないですか。それをまったく知らない人の前で見せるってのが怖くて。すっげえ緊張してたんですよ。

――もちろん、緊張します。

ササキ:漫才の出だし……。ツカミが、僕がベラベラ喋るところから始まる演出だったんですけど、本当に緊張してて出だしから「あばばばばば」って。本当にそう言ってるのかってくらい噛んだんですよ(笑)。

――(笑)

ササキ:そしたらせじもさんが……。せじもさんって本当にいい子なんで。「何噛んでんだよ」とかツッコむわけじゃないんですよね。そんな僕を見て、ただひとこと「大丈夫?」って(笑)。

せじも:(笑)

ササキ:それがメチャクチャウケたんです(笑)!

――確かに、ツッコミとしてはすごく正しいひとことだと思います(笑)。

せじも:ちょうどいいトーンだったんだろうね(笑)。

ササキ:あのトーンは今出せないよね(笑)。

――高校生が純粋に友だちを心配して言った「大丈夫?」ですからね(笑)。

ササキ:そこからは高校生ってこともあって、何やってもウケました。

――おお(笑)!

ササキ:結果としては落ちてしまったんですけど。ウケたのが2人とも快感で。「これ、マジでやらね?」ってことになったんです。

そしてお笑いの道へ

ササキ:で、その先生なんですけど。いらんことをしてくれてて……(笑)。

――というのは?

ササキ:僕ら2人が学校休むじゃないですか。なんで休んでいるのか、授業中にみんなに言ってて。

――(笑)

ササキ:「今日はササキとせじもが休んでいるだろう? あいつらは夢を追って仙台に行っているんだ!」って。俺らからしたらサイアクですよ(笑)。

せじも:そうそう(笑)。

――現場でウケたとはいえ結果は落選です。周りの反応はいかがでしたか?

ササキ:『M-1』自体が第1回だったんで、ウケたウケないとか、受かった受からないとかっていう、あんまりそんな雰囲気もなくて。「なんかお笑いの大会に出たらしいじゃん」くらいの感じで。

――なるほど。

ササキ:そんなことより「え? お前お笑いとかやんの?」「そういうタイプなん?」みたいになって。だんだん逃げられない空気になり……。今思えば先生が固めてくれたというか。

せじも:お笑いの道に行かざるを得ない(笑)。

ササキ:ウチの親は大賛成で。「最高じゃん。絶対イケるよ!」って。養成所として親が『東京アナウンス学院(以下『アナ学』)』を見つけてきてくれて。行くことになりました。

――なるほど。

ササキ:僕は、高校の先生にM-1を、親にアナ学を見つけてきてもらって。自動的にお笑い芸人になりました(笑)。

せじも:僕はアナ学じゃないんです。行きたかったんですけど学費がちょっと払えなくて……。上京してササキくんの家の近所に住んで。アナ学のネタ見せとかライブだけ、ササキくんの相方として参加させてもらってました。

――親御さんはそもそも賛成してたんですか?

せじも:大反対でしたね!

――そういう話をうかがいたいです!

ササキ:ホントだよ。どこに住んだかとかどうでもいいんだよ(笑)。

せじも:まあまあまあ。いらないジャブもいるでしょ(笑)。

――謎の名言出ました(笑)。

せじも:母親は大反対でしたね。もともと教育ママだったんで。幼稚園くらいから公文通ったりしてて……。「お笑いやるのは働きながらでもいいじゃない」って言われたんですけど「いや、この熱量でやっていきたい」って説得しました。

――そうなると、上京するのは金銭的に親御さんの援助も受けにくいと思うのですが……。

せじも:高校卒業する前の3ヶ月間はバイトして上京資金を貯めました。

アナ学生とフリーター

――1人が養成所に通って、1人が言わばフリーターのコンビは、いびつな関係とも思えるのですが……。

ササキ:あとからみんなに言われて「確かにそうだな」って思いました。「ササキばっか学費払ってんじゃん」って言われて。僕は全然気にしてなかったんですけど。

せじも:一瞬問題になりましたけどね。

ササキ:そうそう。あまりにみんなが言うから。「せじもはササキに毎日500円払った方がいい」ってなって。

――なぜ500円(笑)?

ササキ:日割りしたらその額になって(笑)。1週間くらい毎日500円もらってた時期がありました。

――500円払うのはどうかと思いますけど、学校の設備使用やネタ見せの授業などが無料同然になってはいます。

ササキ:そうなんです。しまいにはコイツ、学校の女の子と付き合っていますからね。いい気なもんです。

――それは良くない(笑)!

せじも:まあでも……、付き合いながらも引け目を感じてましたよ。

ササキ:それでチャラになんないから(笑)。

(秋田 大館樹海ドームにて)

トリオ『三日月シュガー』

――とにかく、コンビで活動することになりました。コンビ名は?

せじも:『ハイドロポンプ』です。

ササキ:ポケモン大好きだったんで、ポケモンの技から。

――ジャンルは?

ササキ:漫才やってました。『M-1』がきっかけでスタートしたんで。

――ウケはいかがでしたか?

ササキ:コンビの状態で入学して、しかも入学前に舞台踏んだことがある人間が僕らだけだったんで。その時点で何歩かリードしてた印象はあります。それをなんとかキープしようと頑張ってた感じでした。

せじも:ライブの順位もいい感じだったしね。

ササキ:それで、1年生の後半か2年生になったくらいのときに(アナ学は2年制)……。急に漫才じゃなくてコントがやりたくなったんです。で、思いついたネタがトリオのもので。じゃあ思い切ってトリオでやってみようってなって。

――はい。

ササキ:同期でプラプラしてた湯田くんを誘って、トリオになり、コントに転向しました。名前も『ノーザンライト』に変えて。

――『ノーザンライト』の由来は?

ササキ:僕らが秋田で、湯田くんが北海道出身で……。大好きなプロレスから。北斗晶さんの『ノーザンライトボム』から。

――なるほど。

ササキ:でも、そろそろ事務所も決めなきゃいけない時期で、解散とか組み直しとかしてる場合じゃなかったんですけど。たまたまケイダッシュステージの当時のマネージャーさんが「トリオを探してる」ってことだったらしく。それで声かけてもらいました。

――そうなんですね。

ササキ:もしコンビで漫才やってたら、ケイダッシュステージじゃなかったかもしれないですね。

そしてコンビに戻る

ササキ:事務所に入って、トリオだから『3』を入れようということで、名前も『三日月シュガー』に改名しました。

――しかし、コンビに戻ってしまいます。

ササキ:だんだん温度差が強くなってきちゃったんですよね。湯田くんのいいところって、飄々としてて何も考えてなさそうな感じのキャラなんですけど。それも4、5年やってくと「いつまでその調子?」ってなってきちゃって……。自分たちも焦りが出てきてしまった時期で。

――なるほど。

ササキ:あるとき、秋田弁のネタが出来て。それがオーディションで受かるようになってきたんです。湯田くんは秋田じゃないんで解説役だったんですけど。ちょうどそのタイミングで湯田くんとの温度差問題も相まって。それで聞いたんです。「お前はやる気があるのか?」って……。

――そしたら?

ササキ:「俺はやる気がない」って(笑)。

せじも:そうね(笑)。

ササキ:じゃあ解散だってなりました。