
ピン芸人として活動、そして上京
――ピンになって、手応えはいかがでしたか?
河邑:仕事が増えました。ローカルとかケーブルテレビのレポーター業とか。
――その後、上京してきます。
河邑:大阪で2、3年やって……。2018年の7月に上京してきました。
――なぜ上京を?
河邑:もともとコンビのときから東京に行こうって話はしてて。東京に出たら、多分自分たちの知らないことがたくさんあるんだろうなって。あと、オーディションが多いよって噂を聞いたんで(笑)。テレビに出られるチャンスは東京の方が多いかなって。
――不安や恐怖はありませんでしたか?
河邑:怖かったです。都市が小さいのにビルが大きいのが気持ち悪くて……。
――(笑)
河邑:でも、他の事務所の芸人さんと知り合えるのはすごくいいですね。「あの番組こうやったよ」とか、情報交換できるので。それに、視野が広くなりました。
――東京と大阪で、お客さんの反応は違いますか?
河邑:全然違います。東京だと、ネタをすごく真面目に聞いてくださるんで、それはすごくいいんですけど……。真面目に聞かれすぎて、設定がエグいときとか「え~」って言われちゃうときがあるんです。大阪は真面目に聞いてないんですけど、あんまりそういうのなくて。
――正直、どちらがやりやすいですか?
河邑:……名古屋くらい?
――(笑)
1人コント以外のネタは?
――ピンになって最初から1人コントを?
河邑:いきなり1人になって。どうしようかと思ったときに、先輩に「道具使った方がいいよ」って言われて。フリップで漫談をやりました。そしたらムチャクチャ緊張して、めっちゃ手震えてたんです(笑)。それ以来、コントをするようになりました。
――(笑)
河邑:初めて作ったコントは、座って喋るだけにしました。とにかく緊張がバレないように。
――失敗してしまったネタはありましたか?
河邑:身体動かす系のネタがウケなくて(笑)。
――漫才のときもおっしゃってました(笑)。
河邑:シンデレラのダンスが、どうしてもロボットダンスになってしまうっていうネタがあって。わざわざドレスも買ったんですけど。ホントにババちびるほどスベりまして(笑)。
――1人コント以外はまったくやられていないんですか?
河邑:東京来てからモノマネもするようになりました。松岡茉優さんとか。
――確かにそうですね。大阪時代はモノマネはあまりやられなかった?
河邑:大阪あまりそういう文化がなくって。別ジャンルとして見られているイメージがあるかもしれません。
ネタ作りの最終手段
――ネタはどのようにして作っているんですか?
河邑:なんにも出ないときは、最終手段があって……。音楽をかけながら作ります。
――どういうことですか?
河邑:歌詞のない音楽を聴いて、それに乗って無理矢理自分を喋らせるっていう……。
――クラシック音楽などですか?
河邑:クラシックとかもそうですし、YouTubeのフリー音源とか。歌詞があるとそっちに引っ張られちゃうんで。
――怖い音楽を聴いていたらホラー系のコント、優雅な音楽を聴いていたらセレブ系のコントができる、みたいな。
河邑:そうですそうです。R-1ぐらんぷり2019の決勝でやった『転校』のネタは音楽を聴いて作りました。悲しいピアノの音楽を聴いてたんですよ。そしたら「私、引っ越すことになったの」っていう台詞が出てきて。「あ、この台詞使いたいな」っていうのがスタートです。
――なるほど。
河邑:音楽聴いてネタ作るの、みなさんそうされてると思ってたんですけど……、周りに聞いたらそうでもないみたいで。
――(笑)

R-1ぐらんぷり、2度の決勝進出
――R-1ぐらんぷりは2018・2019と2度決勝に進出しています。
河邑:2018は何も考える暇もなく、緊張で……。楽しかった覚えはあるんですけど。
――準決勝で手応えは感じていたんですか?
河邑:準決勝自体、2018が初めてだったんです。だからあんまりわかってなくて、そのときの自分のできる限りをやったってことしかなかったです。
――決勝進出の名前を呼ばれたときはいかがでしたか?
河邑:「えっ?」って思いました(笑)。
――「やったー!」とかではないんですね。
河邑:もちろん「やったー!」っていう感情はあるんですけど、他の芸人さんの手前、「やったー!」って言ったら失礼なんかな、みたいな。喜び方もわからなくて(笑)。
――史上最年少決勝進出者でしたからね。
河邑:周りはほとんど先輩で。1番後輩だった気もします。喜びづらかったです(笑)。
――今思うと、喜んで良かった気もしますね。
河邑:確かに。今考えたらそう思いました(笑)。
――2019、2度目の決勝進出はいかがでしたか?
河邑:2018はまだ大阪やったんです。2019で東京来て初めてのR-1やったんで……。「やったんぞ」じゃないですけど、狙って行った感覚はあります。
――戦略などの変化はあったんですか?
河邑:ありました。2回戦までの2分ネタは、ボケの面白さよりもテンポ・間を重視して。それ以降はもう少しゆっくり喋って……。面白さも大事なんですけど、勝ちにいくことも重視してやりました。
決してタレントへの足がかりではない
――河邑さんにとって、賞レースはどのように考えていますか?
河邑:今のところ、賞レースのために動いているところはあります。『R-1ぐらんぷり』もそうですし、『THE W』も行きたいですね。
――私の偏見もあるのですが、河邑さんって「お笑いを足がかりにして、タレント業に移行していきたい」と思われがちなのかな、と思っていまして。でも話してみると意外とそうでもないですよね。
河邑:めっちゃ思われがちです(笑)。
――ご自身としてはどのように考えているんですか?
河邑:レポーターとかドラマとかもちろん楽しいですけど、必ず『芸人が軸』でとは考えていますね。朝ドラに出られたりしたのも、『芸人やってたから』ってのもあるでしょうし。芸人のおかげで他の仕事をいただけているんだろうなとは思っています。
子どものころからの夢、お笑い芸人。中学で友達と漫才をやって、1人で養成所に入って、解散してもピンでお笑いを続けた結果が、R-1ぐらんぷり決勝への裏付けとなっていた! 河邑ミクのコーヒーブレイク・インタビュー、後編へ続く!(5月8日更新予定)
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