ぽっちゃりカトパンとそれを影から支える男【駆け抜けて軽トラ(前編)】

(ネタ合わせでのひとコマ)

あなたは1人で売れない

――しかし、結果として『駆け抜けて軽トラ』を組むことになります。どんな経緯でそうなったんですか?

小野島:先ほども言ったように、最初は他人の神輿を担ぎたくないっていうのがやっぱりありまして。

――餅田さんがいいとか悪いとかではない、ということですね。

小野島:それに、僕自身ピンネタもウケ始めていたころで。コンビのときには褒めてくれなかったような作家さんから褒めていただいたり。僕としては可能性に満ち溢れていたんですけど……。ある日、冷静な大人に言われたんです。「あなたは1人で売れない」って(笑)。

餅田:(笑)

小野島:ビックリしちゃって(笑)。

――それで決心したんですか?

小野島:そうですね。それで「ちょっとやってみよう」ってなりました。

性の話以外は噛み合わない

――お笑いコンビとしては、勧められてコンビを組むというのは珍しいと思うんです。最初はどんな風にネタを作っていくんですか?

小野島:ネタ合わせというより、人となりがまったくわからなかったんで「あなたどういう人なんですか?」っていう話し合いを、週に1回くらい。

――なるほど。

小野島:それで餅田が、性に奔放なところがわかってきて。基本お喋りがたどたどしいんですけど、性の話になると途端に饒舌になるんです。

餅田:(笑)

小野島:性の話はテンポが良くて面白かったんで、そういうところからネタを始めていきました。

――餅田さんは小野島さんに対して、組む前は『すごい人』という評価でしたが、組んでみてその印象は変わりました?

餅田:コンビでネタをやっていたときの小野島さんは、不審者というか、気持ち悪い人を演じていたんですけど、実際深く話してみると、しっかりしてるし、頭いいし……、頭良すぎて何言ってんだか、全然わかんなかったっすね~(笑)。

――どういうことですか(笑)?

小野島:頭良すぎてってことはないと思うんですけど、餅田の理解力がなさすぎて……。例えば「首の皮一枚で繋がったよね」みたいなこと言うと「いや、首の皮って繋がってるじゃないですか」って返ってきたり……。

餅田:勉強できないんですよ……。

小野島:「天秤にかける」って言うと「なんで今、理科の実験の話が出てくるんですか?」って具合で。会話が噛み合わないんですよ。性の話になると饒舌になるんですけど。

餅田:(笑)

――しかし、どこかのタイミングで正式なコンビとしてスタートするんですよね?

餅田:あれ? 決めましたっけ? 小野島さんが決めた?

小野島:いや、とりあえずやってみようのままずーっと続いているような感じです。

組んだ当初はケンカばかり

――小野島さんは、男女コンビというのは初ですよね。男性同士と比べて、いかがですか?

小野島:そうですね……。わかってもらえそうなことがわかってもらえなかったりとか……。

――あるあるネタとか。

小野島:でも、それよりも年齢ですね。7歳差あるんですけど、それが原因で噛み合わないことが多いですかね。今、改めて考えたら、女子として全然見れてないなって思いました(笑)。

餅田:(笑)

小野島:男女コンビという意味では『南海キャンディーズ』の山里さんからアドバイスいただいたことがありまして。「論理的に責め立てちゃダメだよ」って。それは気をつけてます。

――餅田さんはそれを感じていますか?

餅田:まったく感じていないっすね……。『論理的』ってなんですか?

――(笑)

小野島:本当ヒドくて。全然話通じなくなると「そんなこと言っても、私の友達、小野島さんのこと全員嫌いですからね」っていう変な攻撃してくるんです(笑)。

餅田:(笑)

小野島:そういうことじゃないし。その攻撃、全然喰らわないし(笑)。

――2人はケンカすることはあるんですか?

餅田:しょっちゅうですよね。

小野島:組んだときは頻繁でした。

餅田:私がダイエット企画の仕事してるときとか、ストレスで小野島さんにすごい当たっちゃったりとか。コントの小道具作るときにケンカしたり……。

小野島:『カトパン危機一発』っていうコントで餅田が入る大きな樽を作ってたんですけど、それをどっちが持ち帰るかで言い合いに。

餅田:泣きながら樽蹴ったりしてました(笑)。

小野島:号泣してましたね。思わずカメラ回しちゃいました(笑)。

餅田さんは泣き虫?

(筆者は松竹芸能さんでネタ見せを一部担当。ある日、ピンネタをするはずの餅田さんがネタを始めずに「何も思いつきませんでした」と泣き出したことがあり……)

――餅田さんはよく泣きますよね(笑)。

餅田:昔はそうでした。今はそうでもないと思うんですけど……。

――いやいや。ネタ見せでもそうですし、『さんまのお笑い向上委員会(フジテレビ)』に出演したときも泣いてました。

餅田:ムカつくと涙出ちゃうんです。あのときも自分にムカついて(笑)。

小野島:今まで、僕だけが餅田の号泣を喰らってたんですけど……。ネタ見せで周りの芸人が見てるなか号泣したことで「餅田は号泣する人だ」って。みんなと共有できたんで、あのネタ見せはよかったです(笑)。

――小野島さんはそのとき現場にいませんでしたね。

小野島:見てた『ヒコロヒー』からすぐ連絡来ました(笑)。

餅田:あれからヒコロヒーさんも話聞いてくれるようになりました(笑)。

(番組前説の楽屋前にて)

コンビ名の由来は?

餅田:私の小学校のころのあだ名が『軽トラ』で。

――なぜ『軽トラ』?

餅田:多分、チビでギュッとした体型で……。田舎だったんで、『2tトラック』とかよりも『軽トラ』の方がみんな見慣れてたってのもあったと思います。

――嫌ではありませんでしたか?

餅田:嫌ではなかったですね。みんながこっち向いてくれてるじゃないすか。『軽トラ』であっても。

――(笑)

小野島:いやこれ、いろんなところで言ってるんですけど、実はけっこう後付けで……。

――え?

小野島:もともとは餅田がつけた『イートミー』っていうコンビ名で活動し始めたんです。『私を食べて』っていう意味なんですけど。でも、それが益若つばささんが立ち上げたブランドとまったく同じ名前で……。

――餅田さんのセンスが益若さんと同じだったということですね。

餅田:わ、嬉しい(笑)!

小野島:僕は『オノ・ヨーコ』時代に、オリジナリティのない名前で不便なこともあったので……。『イートミー』も危ないんじゃないかってことで、改名することにしたんです。

――なるほど。

小野島:僕らとは真逆の男女コンビって誰かなって探してたら『バッファロー’66』っていう、かっこいい男女が出てくる映画を見つけまして。それを画像検索してたらかっこいい車が出てくるんですよ。「僕らこの車には乗らないよね、軽トラだよね」って言ってて……。

餅田:え~? 知らなかったです。

小野島:いや、2人で話し合って決めたじゃん(笑)!

――(笑)

小野島:そしたら餅田がいつからか「小さいときのあだ名が軽トラだった」って言い出して……。

餅田:そうでしたっけ?

小野島:後乗りがうまいんですよ、餅田が。『小さいときのあだ名が軽トラ』の方が、エピソードとしてコンパクトでいいじゃないですか。後乗りうまくて、参考になります(笑)。

カトパンさんのモノマネ

――餅田さんといえば、カトパンさん(加藤綾子アナウンサー)のモノマネでおなじみです。きっかけは?

餅田:モノマネのオーディションを受けることになって、そのときにマネージャーさんに「カトパンさんいけんじゃない?」って言ってもらって……。

――似てると言われて、いかがでしたか?

餅田:それまで似てるって言われたことなくて。「本当かな~?」みたいな。特に嬉しくもなく、悲しくもなく(笑)。

――カトパンさんが出演している番組はチェックしているんですか?

餅田:毎日『Live News it!(フジテレビ)』をチェックしてます。

――2人のネタも、カトパンさんのモノマネを活かしたコントが多い印象です。

小野島:基本的にはそうですね。

――他の人に比べて、ネタのテーマがどうしても広くなりにくいとは思いますが……。

小野島:顔と太っていることに、どう落とし前をつけるかってことにすべてをかけてます。

――他のスタイルに挑戦されたりはしないんですか?

小野島:1回カトパンさん使わないネタやったら「代表作もないのに」って怒られました(笑)。

餅田:コント以外だと、カトパンさんのモノマネで時事ネタもやりました。

――カトパンさんはアナウンサーですから。時事ネタ、よさそうですね。

小野島:絶対イケるかなと思ったんですけど、「説得力がない」って言われて(笑)。

餅田:でも、時事ネタは今後も挑戦していきたいです。


明るく奔放な餅田さんと、冷静なネタ職人の小野島さん。どこか噛み合わない会話こそが、2人の持ち味になっている。そのおかしさは、勧められて組んだコンビだからこその味わいなのかもしれない。駆け抜けて軽トラのコーヒーブレイク・インタビュー、後編へ続く!(5月22日更新予定)