諸行無常に進化を続けるコンビ【ドドん(後編)】

前編は、ドドんの2人がどのようにしてコンビを組んで、事務所に所属したかまでを聞いてきました。後編は漫才・歌ネタ・バンド活動、その他さまざまなことを聞いていきます。ドドんに……、コーヒーブレイク・インタビュー!


コンビ名の由来は?

石田:僕、プロレスが好きなんですけど。プロレスラー、田口隆祐選手の得意技の『どどん』から。

――仏教とは関係ないんですね。

石田:はい(笑)。

安田:僕が全然プロレス知らなくて。でも『ドドん』は炸裂音みたいでいいなあって思ってたんです。そしたらある日、先輩芸人から「『ドドん』ってプロレス技の『どどん』だよね?」って言われて。「なにそれ?」って。

――知らなかったんですか?

石田:僕が説明しなかったんで(笑)。

安田:太鼓の音か何かだと思ってました。

――なんとなくお坊さんのキャラクターに合ってそうな気もしますし。

安田:そうなんです! で、どんな技なのか調べたら、後ろから羽交い締めにして顔面からマットに叩きつけるっていう……。とんでもない技でした。

石田:フィニッシュホールドですから。

安田:怖っ!って(笑)。

――(笑)

石田:田口選手にもお会いしたことあって、了承はいただきました。

――なんて仰ってました?

安田:「え、ありがとね~」って(笑)。すごくいい方でした。

他の芸人とは違うネタ作りの苦労

石田:ネタのなかで、「これは仏教的にどうなのか?」っていう判定は大事でして……。

――本物のお坊さんだからこそ、丁寧に扱わなくてはいけない。

石田:そうなんです。心配なときは他のお坊さんに聞いてます。「これはマズイんじゃないか?」とか、「それは攻め過ぎだよ」とか言われて。

――我々にはわからないところですが(笑)。

石田:言っちゃいけないラインがありますね。『幽霊』の話がネタに出てきたときに、「極楽行けてないじゃーん!」みたいな(笑)。

――単語選びというより、概念の話ですね。

石田:「面白いからいいじゃん」とはならないですね。『天使と悪魔』とかも扱いにくい。

安田:「ここでお経読んでよ」って言っても、「このタイミングでお経は読めない」とか。

石田:破門になります(笑)。

――(笑)

石田:僕、公の場で「南無阿弥陀仏」って言えないんですよ。

――どういうことですか?

石田:ウチの宗派は「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」じゃなくて、「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」になるんです。

――ほう。

石田:以前、テレビの企画で『馬の耳に念仏は本当か?』って検証する企画があって。

――(笑)

石田:「是非やらせてください」ってなったんですけど。そこで「南無阿弥陀仏」が言えなくて。「『南無釈迦牟尼仏』でいかせてください」って言ったら、スタッフさんもキョトンとして。

――いやでも、それはそうかもしれないですね。

石田:ここで折れるわけにはいかないんですよね。僕が怒られるだけならいいんですけど、実家の寺にも迷惑がかかるんで……。

――なるほど。

石田:実は、実家にクレームも何件か来たことあるらしいんですよ。親父は何も言わないですけど。

――苦労がありますね。ちなみに、馬の耳に念仏の検証はどうなったんですか?

石田:馬、反応なしでした。『馬の耳に念仏』、ことわざ通りです(笑)。

安田さんは葬儀屋さんでアルバイト

安田:どぶろっくの森さんが、昔、葬儀屋さんの花屋さんでアルバイトしてまして。

――そうなんですね。

安田:はい。それで、相方もお坊さんだし、そこでアルバイトさせてもらおうと思って。紹介してもらったんです。

――それで、葬儀屋さんに。

安田:いえ。そこは面接で落ちました(笑)。

――え?

安田:僕も紹介してもらって「落ちる~?」ってなったんですけど(笑)。結局自分で探して、働き出しました。

――葬儀屋さんでは、どんな仕事をしているんですか?

安田:当番ですね。お通夜とか告別式は土日に2日間、通しで出ないといけないんで、芸人と両立しにくくて。

――当番というのは?

安田:夜から朝にかけての電話番です。電話が鳴ったら、近くの病院に行ってご遺体を霊安室に運んで、葬儀会社が決まってなかったら、ご遺族の方とお話するという……。

――デリケートな業務ですね。

安田:もちろん、ご遺族の方が落ち着いてから僕らが呼ばれるって形なんですけど、デリケートですね。あと、車でご遺体の搬送をしたり……。

石田:へえ~。

――石田さんはそのあたり、あまり知らないんですね(笑)。

漫才も歌ネタも

――漫才のイメージが強いですが、2015年に『歌ネタ王決定戦』の決勝にも進出しています。歌ネタはどういうきっかけで?

石田:僕がお坊さんネタをやりたくないと思っていた感覚と同じで、安田さんがギター弾けるってことをまったく教えてくれなかったんですよ。

――先ほどの安田さんのお話をうかがう限り、『ちょっと弾ける』レベルじゃないですよね。

石田:そうなんですよ!

安田:ギター弾いて何が面白いんだろうって思ってたんです。

――自分の普通が普通じゃない、ってことに気が付くのって、難しいですよね。

安田:ギターなんて誰でも練習すれば弾けるよって思ってたんで。

石田:でも、事務所の先輩にどぶろっくさんがいて。身近に歌ネタで活躍してる人もいたんで。

安田:でもコイツがあんまり、歌うまくないんですよ。

石田:下手なんです(笑)。

――しかし、バンド『THE 南無ズ』では石田さん扮する『彼岸田 盆』が歌も担当しています。

石田:ありゃ『飾り』です。煽っているだけ(笑)。

バンド『THE 南無ズ』の活動

――どのような経緯でバンド『THE 南無ズ』の活動が始まったんですか?

石田:まず、僕が『坊主バ―』で働くことになったんです。

――お坊さんがバーカウンターに立っているという……?

石田:そうですそうです。そのなかで、お坊さんがメンバーの『坊主バンド』の活動があって。誘われて入ったんです。楽器弾けないんですけど。

安田:で、「ギター弾けるなら相方さんも」ってことで、僕も参加することになりました。

石田:そしたら『坊主バンド』がだんだんテレビとかで取り上げられるようになって……。

――拝見したことあります。

石田:僕としては「これはいいぞ」ってなったんですけど。みなさん本業のお坊さんがあるんで、忙しいんですよね。布教のためにやっている側面もあるんで、ただ売れればいいってわけじゃないですし。

――節度も大事ですからね。

石田:そこで、「僕主体で動いてもいいですか?」って交渉して。『坊主バンド』のスピンオフみたいな形で、『THE 南無ズ』が始まるんです。

――メンバーは石田さんの『彼岸田 盆』、安田さんの『涅槃崎 悟』のほかに、あと2人いらっしゃいます。

石田:『虚無尺 僧八』は、安田さんより先に『坊主バンド』に入ってたんですよ。

――『みちばたコンサート』の『こむそう.com』さんですね。

石田:はい。『坊主バンド』で、お坊さんが「尺八を覚えたい」ってなって。「尺八吹ける芸人さんがいるらしい」って、お坊さんが見つけてきたんですよ(笑)。

――ドドんさんからの紹介じゃないんですね。

石田:あとはドラムですね。浅井企画のネタ見せにドラム叩ける女の子が来てたという情報をキャッチして。

――『地獄パワフル』の『わくわくあや』さん。

石田:はい。『THE 南無ズ』では『おがみ おが』という名前でやってます。

安田:『地獄パワフル』って、『THE 南無ズ』としては最悪のコンビ名なんですけど(笑)。

――(笑)

石田:それで、『おがみ おが』に交渉したら、「コミックバンドやりたかったんです!」って。

――珍しいタイプ。

石田:「コミックバンドやりたかったのに、誰もやってくれないから、お笑い始めたんです」ってことだったらしく。ふたつ返事で「やります!」って言ってくれて。これで、『THE 南無ズ』が完成しました。